津田塾大学


先生の「素顔」をクローズアップ!
今回は2004年11月より新学長に就任した飯野正子教授に直撃。
プロフィール
大阪府豊中市出身。1966年、津田塾大学学芸学部英文学科卒業後、フルブライト留学生として渡米。ニューヨーク州シラキュース大学大学院歴史学科修士課程を修了。1969年3月まで博士課程在籍。同年4月より津田塾大学に勤務。McGill大学客員助教授、Acadia大学客員教授、California大学Berkeley校客員研究員などを歴任。専門はアメリカ史、特にアメリカの移民の歴史。『もう一つの日米関係史』 『日系カナダ人の歴史』など著書多数。共訳を含めて翻訳書も多い。1997年、カナダ首相出版賞受賞。2001年、国際カナダ研究総督賞受賞。趣味は料理とスポーツ。高校時代は卓球の選手。今は細々とではあるが、エアロビクスをやっている。
飯野正子教授

日本アメリカ学会常務理事も務められ、このたび津田塾大学学長に就任された飯野先生。研究活動もますます脂にのっています。パワーの秘密をうかがってみましょう。

「自分では文学少女だと思っていたが、いつの間にか新しい分野に」

アメリカ研究を専門にされた経緯を教えてください。

当時はまだアメリカ研究が新しい研究分野でした。私は自分で勝手に文学少女だと思っていましたから(笑)、最初は英文学を学びたくて津田に入ったのですね。津田ではちょうど私が2年生の時にアメリカ研究プログラムが始まりました。「新しいから」という理由で、私はこのプログラムに入りました。2期目の学生だったわけです。当時はケネディ大統領がもてはやされていて、世界のためにアメリカが頑張っているという空気がありました。30年後の日米関係とはまったくちがいますね。アメリカ人もおおらかでした。その意味でも、非常にいい時期に留学させてもらったと思っています。


アメリカへ留学されたのは卒業後ですね。

留学のお話があったのは3年生の時でした。アメリカ人の先生が津田に教えにきていらっしゃったのですが、女子学生を一人アメリカへ招きたいということで、なぜか偶然私に声がかかったのです。ただ、その頃は認定留学制度というものがなかったので、卒業後に留学することにしました。そういうことも全部、先生方が設定してくださって。何がなんでも留学したい、というのではなかったのですけど、あの時代に留学を許してもらえたのはもしかするとすごいことだったのかもしれない、と自分が親になって思いました。


「研究を通じて豊かになった」

移民について研究されたきっかけは何でしょうか。

たとえば黒人差別ひとつとっても、自分の持っていた知識と実際に現地で感じるものとではちがっていました。アメリカは移民を受け入れて発展してきた国といわれるけれども、実際に移民に対してどういう姿勢をとっているかというと、寛大さとは裏腹の差別があるのではないか。留学生だった頃に痛感したのは、移民の側と受け入れる側、常に両面を見なければならないということでした。そういう素朴なところからスタートしました。
『もう一つの日米関係史』(2000年)、『日系カナダ人の歴史』(1997年)、『エスニック・アメリカ』(1984年)。国と国との関係が日系人や移民に及ぼす影響がテーマ。著書も翻訳も多数。


日系人についてのご著書が多いようですが。

日本からの移民と日系人の移民について調べ始めたのは、大学院の修士論文を書くとき。それ以来ですから、ずいぶん長く続けていますね。結局のところ、人間に興味があるんだと思います。人間と、人の移動。研究を続けていてよかったなと思うのは、日系人との交流が続いていること。とくに、70年代から80年代にかけてカリフォルニア州などで多数の日系人の方々にインタビューをしましたが、ものすごく教えられるところが多かった。困難や差別を乗り越えてきた方たちから多くを学びました。日系人として、というより人間として。物ごとの大きなところをとらえる、懐が深い日系人と接するたびに豊かな気持ちにさせてもらえました。

「津田の良さをもっと知ってもらいたい」

ところで、津田の良さはどんなところにあるとお思いですか。

しゃれた小物が好きな先生のために、学生たちが置いていく世界各地からのおみやげが研究室にいっぱい。 面倒見の良いところだと思います。私が学生の頃もそうでしたが、とにかく宿題が多くて、与えられたものについていくだけで精一杯。その代わり、先生方は熱意にあふれていて一生懸命に指導してくださいました。今でも忘れられないのは、先生が英語の辞書を半年や1年ですりきれるほどひきなさいとおっしゃったこと。そんなこと考えたことがなかった(笑)。そういう先生の熱心さがすごくありがたかったですね。私のようにのんびりしていて怠け者のタイプには向いていました。じつは入学前に地元の国立大学にも合格していたのですけど、津田を選んで本当に良かったと思ったものです。

今の津田塾生はいかがでしょう。

最近感じることは、今の学生は私が学生だった頃よりもずっと分析力や理解力があるということです。ずっと大人です。ただ、一方であきらめるのが早いような気がします。これは自分には向いていない、これはおそらく役に立たないという決断が早い。その判断力はどこからくるのかと思うのですけど(笑)。気が向かなくとも仕方なく取り組まなければならないことがあっても良いのではないでしょうか。いやでもやっていたことが身につく場合もあるかもしれません。いろいろなことを試して、自分の力を伸ばしてほしい、新しい自分を発見してほしいと思います。大学は失敗しても大丈夫な場所なのですから。

表紙に戻る
 



Copyright (c) 津田塾大学 Tsuda College 2005. All rights reserved.
〒187-8577 東京都小平市津田町2-1-1 津田塾大学 企画広報課
Tel. 042-342-5113 email :