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高校生の方へ

卒業生の声

2015年度数学科卒・2017年度理学研究科卒  メーカーAI研究者

高校生のとき、暗記が苦手な私にも勉学の楽しさを教えてくれたのが数学でした。単語を覚えなければいけない英語や古文は万年赤点、理科や社会科目もまったく振るわない中で、数学だけは学年5本の指に入る成績を取って担任を不思議がらせていました。もし高校の教育課程に数学がなければ、私は学問に対する大きなコンプレックスを抱いたまま社会に出ていたかもしれません。

数学しかできない私に対して、両親が冗談めかして「数学科には就職先がない」「大学院に進んだら婚期を逃す」と言ったことも覚えています。しかし私が数学科に在籍した2010年代は第3次AIブームの真っただ中。確率論や統計学を基にしたビッグデータ解析、様々な数学的工夫が練りこまれたディープラーニングの発展によって、IT分野のみならず産業界全体の価値観が変わりゆく時期でした。この波に乗って電機メーカーに就職した私は、AI・データ分析技術の社会実装を推進する研究員として働いています。 弊社の研究開発部門には様々なバックグラウンドの人間がいます。出身分野はセンシングや通信、画像処理、光など多種多様で、入社後に全く違う分野を担当することも少なくありません。しかし、数学は全ての科学の根底を流れる水脈なようなもの。数学しかできなかった私は、津田塾での6年間で「どの分野にも役立つ知恵」を身に着けたと感じています。

数学が好き、得意な人はもちろん、将来展望が明確に決まっていない人にもお勧めできるのが数学科です。是非津田塾の数学科で、自身の可能性を模索してみてください。


2017年数学科卒・2019年理学研究科卒  特許技術者

私は現在、特許事務所で特許技術者をしています。特許技術者の主な仕事は、企業や大学等で開発された技術を伝えるための文章を作成することです。

在学時を振り返り、改めて良かったと思うことの一つ目は、学習するための施設や環境が充実していたことです。私は在学中、先生方の研究室の傍にある学習スペース(自習室)や、図書館等を利用して数学を勉強しました。特に自習室は、空き時間に自習をしたり、数人で集まって学習をしたりする際に、数学科の生徒が優先的に使えたので利用しやすかったです。私は自習室で、ゼミ(研究室・分野を選び、教科書を中心に少人数で研究・学習をする授業)のメンバーと一緒に学習したことを覚えています。自習室には数学書の用意もあるため、ちょっとしたことを調べるにも便利でした。また、数学科の設置されている小平キャンパスは、学内、学外ともに自然が多く落ち着いた環境なので、集中して学習に取り組むことができました。気分転換に散歩することもおススメです。

二つ目は、学生同士で教え合う環境が整っていたことです。例えばお昼休みには、大学院生へ質問できるコーナが設けられています。私は、分からない問題などを質問したり、進路のことについて相談をしたりしていました。卒業後、私は大学院に進学しましたが、その時は学部生から質問を受ける立場になりました。 学部生からの質問は、授業・ゼミ等の内容が中心でした。学部生が分からない、という部分について一緒に考え、解決のためのサポートをすることができたかと思います。

私が現在、仕事をしていて実感していることは、物事を論理的に整理する力はとても重要だということです。数学科での学習は、このような力を培うためにも、とても大切なものになると思います。はじめのうちは、数学の文章や、言葉の定義に慣れず、難しく感じることもあるかもしれません(私はそうでした)が、一つ一つ、自分の理解と丁寧に照らし合わせていけば、理解できる時がくると思います。このような作業にじっくりと取り組むことは、大学生活において貴重な時間になると思います。また、考えていたことが分かるようになったとき(証明ができたとき、理解できたとき)は、非常に嬉しい経験になると思います。


2010年数学科卒・2015年理学研究科卒 高等専門学校(数学)助教

津田塾で過ごした日々は大学院を含め、9年間ありました。女子大数学科の中でも津田塾は1学年の人数が多いので、気の合う友達もたくさん作ることができます。学部生の時に友人たちと共に数学の授業や色々な授業の勉強をしたことはとても良い思い出です。数学科では1年生からセミナーがあり、数学の教科書に触れる機会がとても多くありました。セミナーは少人数制なので先生方との距離も近く、親身に相談に乗ってくださる先生方ばかりです。さらに、大学院生による質問教室もあるので、大学院生との繋がりもできます。私は教員免許も取得したため、他学科の学生と同じ授業を受ける機会も多々ありました。授業中に他学科の学生と意見を交換したりする中で、自分自身の考えや知識を広げることができた気がします。興味を持った授業は積極的に受けることをお勧めします。必ず自分自身の糧になることでしょう。

現在は東京都立の高等専門学校で助教として勤めています。高専では大学数学も学ぶため、2年生から線形代数や微積があります。学生のほとんどは男子生徒のため、津田塾で大学院まで過ごしてきた私としてはとても新鮮な環境です。今では研究室を訪ねてくれる学生も増え、楽しい日々を過ごしています。今後も教育と研究の両方に邁進していきたいと思っています。


2013年数学科卒 高校教諭(数学)

現在、公立の高等学校で数学の教員をしています。今年度から、数学をすべて英語で教えており、将来の目標は、国際バカロレアというプログラムで数学の指導ができるようになることです。

津田塾大学に在学中の思い出としては、校内の喫茶店やグループ活動ができる自習室などをフルに活用して、数学を語り合える仲間と共に励ましあいながら勉強したことが挙げられます。中でも卒業論文に取り組む際に、もう一人の仲間と何日もかけて、とことん巨大な行列式の逆行列を求める計算と取り組んだことは、学生ならではの体験だったと思います。

また、対人関係や健康面で不安になった時に、相談にのってくださったウェルネスセンターの職員の皆さんの温かい支援は、私の大学生活において、なくてはならないものでした。困った時、ウェルネスセンターだけでなく、誰かが手を差し伸べてくれるそんな社会が津田塾大学にはあります。

人生において学生時代というのは、学ぶことだけに集中することも許される、貴重な時間です。皆さんも、その貴重な時間を有効に過ごしてください。


2004年情報数理科学科数学コース卒 高等専門学校 理数科 助教

現在、国立高等専門学校で数学担当の助教をしています。高専は準学士課程の五年間(高校と短期大学に相当)と専攻科二年間(卒業と同時に学士を取得可能)がありますので、高校一年生から一般でいう大学卒業に相当する年齢の学生が在籍しています。従って、非常に広い範囲の数学を教えています。また、部活の顧問や担任といった業務もあります。

また、高専は高等教育機関なので、教員それぞれが個々の専門分野の研究者でもあります。授業の合間や放課後には頭を切り替えて自分の研究に没頭し、研究成果を公表できるように努めています。私の専門は偏微分方程式を用いた数理モデル解析です。放課後は大学の研究室に行き、菌の培養実験を行い、バクテリアの運動を数理モデル化して解析しています。現在は高専の生徒も一緒に納豆菌の研究を行っております。将来的には高等教育機関のなかでも、研究に専念できる職場への異動を目標にしています。

私の在校時は一年生からゼミ配属があり(今もそうでしょうか?)早くから専門書に親しむことができました。早くから専門分野に触れさせてもらうことで、だんだんと自分の好みに気づくことが出来てよかったと思います。特に3年生のゼミで微分方程式の楽しさや実用性に触れ、現在の研究につながっています。また、在学中は華道部に所属しており、放課後ワイワイと生け花をするのがとても楽しかったです。とにかく友達と楽しく勉強したあっという間の4年間でした。

津田塾は外国語を学ぶ環境にも恵まれているので、理系を他の大学で勉強している人よりも質の高い外国語の授業を受けられるメリットがあります。他大学の大学院に進学して、研究集会や出張で英語を話さなければいけない機会が多々ありましたが、英語で困る事がなかったのは大学での教育のおかげだと思っています。理系科目で手一杯かもしれませんが、外国語の授業を積極的にとられることをお勧めします。


2003年情報数理科学科数学コース卒 コンサルティング会社アクチュアリー部門/シニアアナリスト 日本アクチュアリー会準会員

現在、外資系コンサルティング会社のアクチュアリー部門で、お客様である生命保険会社の商品開発・決算業務のサポート等を行っております。アクチュアリーとは、主に生損保・年金事業における数理業務の専門職で、資格取得には平均7,8年を要すると言われる試験に合格する必要があります。

私が津田塾で過ごした4年間は、高校時代よりも更に主体的に勉強に取り組むことが出来ました。図書館は勿論、中庭や学食でも、学生が勉強をしている姿がごく当たり前に見られる、とても素晴らしい環境だったと感じます。そこで過ごした4年間があったからこそ、就職後の厳しい試験勉強も乗り越えることが出来ました。また、津田塾で学んだのは数学だけではありません。現在、海外のコンサルタントが書いた資料や論文等を日本のお客様向けに翻訳をする機会がありますが、津田塾時代に沢山の英語に触れるよう努めていましたので、単に直訳するだけではなく内容を理解し、それを分かりやすい日本語で相手に伝えるという経験が今も非常に役に立っています。これは、他大学の数学科では経験出来なかったことと思います。

数学を勉強したいという女性は、他の分野に比べて日本では少ないと思われます。実際、海外に比べると日本ではまだまだ女性アクチュアリーが少ない状況です。更に試験に合格することも簡単ではありませんが、それでも私はアクチュアリー職を選んだことで高校生の時に感じた「数学は楽しい」という感覚を卒業後何年経ても同じ気持ちで居られる事はとっても幸せなことだと感じます。

数学を生かせる仕事はアクチュアリーや数学教員だけではありません。津田塾で数学を学んだ後には幅広い選択肢があります。同じ時間を過ごした同級生も、それぞれ様々な分野で活躍しています。是非、皆さんにも津田塾で数学を学び、幅広い分野で胸を張って活躍をして欲しいと願います。


1999年数学科卒 高校教諭(数学)

「数学」と聞くと、複雑な計算や定理をイメージする人が多いことでしょう。私自身も、高校時代は、公式にあてはめればきちんと答えが出てくるところが好きでしたが、大学に入り、数学がただ計算して答えを出すだけの学問ではないことに気づきました。私たちの身近な生活の中にも、数学に結びつく様々な興味深い話題が潜んでいます。そして、数学を通して見えてくる世界の広がりや面白さを感じ、この気持ちを伝えていけたらと思い、教師の道を選びました。

現在、高校で数学を教えている私の心に、「数学を教えることは”つなげて”いくこと」という大学時代のある先生の言葉が今も印象深く残っています。数学が好きな子、大嫌いな子、好きだけど苦手な子など、すべての生徒に、数学の楽しさを感じてもらうのはとても難しいことですが、だからこそやりがいがあるとも感じています。いつか私自身も「日常生活の中の数学」を見つけ、数学の魅力を生徒たちにつなげていきたいと願っています。津田塾大学数学科の最大の特徴は、少人数講座で一人ひとりにきめ細かな指導が可能な環境が整っていることです。先生との距離も近く、きちんと理解できるまで丁寧に導いてもらえますので、じっくり真剣に数学を学びたいという人にはおすすめです。


1993年数学科卒 シンクタンク研究員・コンサルタント

津田塾の数学科は生徒数が少ないので、1人1人が丁寧な指導を受けることができ、意欲的に勉強するにはうってつけの環境です。大学での数学は、高校までのそれに比べてより複雑な問題を扱いながら、理論を深く理解し、淀みなく展開させ、しっかりと解決に導くということを学びます。実は、この一連の流れは、私が今仕事で活用している数理計画の考え方そのものなのです。

現在私は、シンクタンクの研究開発部門に所属しており、数理計画という数学的な専門知識を適用したシミュレーションシステムの研究開発とコンサルティングを行っています。数理計画とは、簡単に説明すると、物事や現象を数学的に捉えて問題を解決する手法で、数学の専門的知識や論理的な思考が求められるものなのです。

数理計画に限らず、道筋だった論理展開というのはあらゆるビジネスに不可欠ですから、数学的な思考方法は、社会に出てからも非常に役立つと思います。

数学に関する分野はまだまだ女性の社会進出が少ないというのが実情ですが、その分、あらゆる可能性が残されていますから、夢をもって頑張ってください。


1985年数学科卒 大学講師

数学は、主体性をもって客観的に物事をとらえ、自分の言葉で理解し表現する学問だと思います。国籍を超えて共鳴できる貴重な言語としての一面 もありますから、固定概念にとらわれることなく、数学を思う存分、自由に楽しんで欲しいですね。

津田塾大学では、少人数のゼミが1年生の頃からあり、数学の定義から展開されるさまざまな概念をじっくり学び、自由に証明することの楽しさを学べました。個人的には、解析の分野の科目を主に選択していたので、実際の数値計算よりも定義からその公理系で展開される理論や証明を、時間をかけて理解することが出来ました。4年ゼミでは少人数でのゼミ合宿もあり、先生から直接一対一の指導を受けて納得のいく卒論も完成させました。

そんな4年間をとおして、主体性をもって自分の理論展開をすることの重要性を学ぶことができたと思います。何もないところから定義によって構造を導入して、その空間に自分の感性に従って理論を展開して何らかの結果を打ち出す基盤を身につけることができ、今も大いに役立っています。


1980年数学科卒 大学教授

数学はそれ自身が興味の尽きない研究対象ですが、自然科学や情報工学など、多くの分野の普遍的基盤としても重要な位 置を占めています。ですから基礎的な数学や数学的思考を大学の頃にきちんと身につけることは、将来にわたって大きな財産になると思います。

私は現在、情報工学における基礎理論の分野で研究・教育を行っています。具体的に言うと、実社会で現れた問題を数学として記述し、それを解くアルゴリズムを考えて構築し、コンピューターによってどのくらいの手間で計算が終るかを見積もる、専門的に言うとアルゴリズムを解析するという作業を行っています。与えられた条件を数学的に式や記号を用いて表現することから作業は始まるのです。

こうしたアルゴリズムの構築や解析の分野だけでなく、実社会での問題解決には、論理的な思考が必要になります。何を仮定したか、手持ちの道具は何かを確認したうえで、解くべき大きな問題を、先ず小さな問題に分割して解き、その答えを部品として集めながら問題の解を構築していくという作業を行うわけです。その時には、主観を排除して、誰がやっても同じ答えが出るという客観性が必要です。つまり、公理を仮定し、必要な補題や命題を数多く用意して、それを部品として、誰が読んでもその正しさを納得できるように記述していく数学の作業に似ているのです。数学的思考に慣れている人は自然にそのような論理的思考回路が形成されていると思います。将来どのような分野でも役立つ考え方なのです。

現在目覚しい発展を遂げている情報の分野では、暗号を初めとして高度な数学を要求されますから、数学のある分野に精通しているということは、実社会でも大きな強みになると思われます。